2016年1月12日、吉祥寺学び会
ゴットホルド・ベック
第一ヨハネ
1:1 初めからあったもの、私たちが聞いたもの、目で見たもの、じっと見、また手でさわったもの、すなわち、いのちのことばについて、
1:2 ――このいのちが現われ、私たちはそれを見たので、そのあかしをし、あなたがたにこの永遠のいのちを伝えます。すなわち、御父とともにあって、私たちに現わされた永遠のいのちです。――
1:3 私たちの見たこと、聞いたことを、あなたがたにも伝えるのは、あなたがたも私たちと交わりを持つようになるためです。私たちの交わりとは、御父および御子イエス・キリストとの交わりです。
1:7 しかし、もし神が光の中におられるように、私たちも光の中を歩んでいるなら、私たちは互いに交わりを保ち、御子イエスの血はすべての罪から私たちをきよめます。
ツィンツェンドルフだけを覚えたらいいかもしれない。彼は1700年生まれ、そして1760年、60歳で天に召されました。いわゆるヘルンフート・ブリューダーゲマイネ（モラビア兄弟団）――ドイツで誰でも知っているのですけれど――の創設者です。信仰の確信を得る道は、ひとつしかない、すなわち、イエス様のところへ行く道だと言い続けたのです。十字架につけられたイエス様こそ、彼にとって、すべてのすべてとなったのです。彼の影響を受けて、多くの人々が宣教師として、当時の全世界に行くようになったのです。そして、彼は、次のように言いました、「交わりがなければ、すべてが根本的に間違っている。」
どうして、交わりが必要かということについて、一緒に考えてみたいと思います。
第一ヨハネ
1:1 初めからあったもの、私たちが聞いたもの、目で見たもの、じっと見、また手でさわったもの、すなわち、いのちのことばについて、
1:2 ――このいのちが現われ、私たちはそれを見たので、そのあかしをし、あなたがたにこの永遠のいのちを伝えます。すなわち、御父とともにあって、私たちに現わされた永遠のいのちです。――
1:3 私たちの見たこと、聞いたことを、あなたがたにも伝えるのは、あなたがたも私たちと交わりを持つようになるためです。私たちの交わりとは、御父および御子イエス・キリストとの交わりです。
1:4 私たちがこれらのことを書き送るのは、私たちの喜びが全きものとなるためです。
1:7 しかし、もし神が光の中におられるように、私たちも光の中を歩んでいるなら、私たちは互いに交わりを保ち、御子イエスの血はすべての罪から私たちをきよめます。
孤独な人間にとって、どうしても必要なのは、交わりなのではないでしょうか。使徒行伝に出てくる、主の恵みによって救われた人々の交わりのような真の交わりとは、どんな交わりであるかを、知るべきではないでしょうか。
使徒行伝
2:42 そして、彼らは使徒たちの教えを堅く守り、交わりをし、パンを裂き、祈りをしていた。
2:43 そして、一同の心に恐れが生じ、使徒たちによって、多くの不思議なわざとあかしの奇蹟が行なわれた。
2:44 信者となった者たちはみないっしょにいて、いっさいの物を共有にしていた。
2:45 そして、資産や持ち物を売っては、それぞれの必要に応じて、みなに分配していた。
2:46 そして毎日、心を一つにして宮に集まり、家でパンを裂き、喜びと真心をもって食事をともにし、
2:47 神を賛美し、すべての民に好意を持たれた。主も毎日救われる人々を仲間に加えてくださった。
ここに出てくる信徒たちは、あの五旬節の時、救われた人々ですけれど、ここで、「彼らは使徒たちの教えを守った」と、書かれています。この使徒の教えとは、何でしょうかね？使徒が伝えたのは、もちろん、イエス様の教えだったでしょう。けれども、教えよりも、イエス様ご自身でした。
終わりの時代に生きている私たちにどうしても必要なのは、この使徒の教えに留まることではないでしょうか。ですが、私たちは、それとともに、信徒の交わりとは、いかなるものであるかを知っているのでしょうか。この信徒の交わりを、本当の意味で知るべきです。使徒の教えが、イエス様ご自身であるなら、信者の交わりも、イエス様との交わりを意味しています。
聖書を見ると、聖書にはただひとつの交わりが書かれています。それは、父、ならびに、御子、主イエス様との交わりです。
第一コリント
1:9 神は真実であり、その方のお召しによって、あなたがたは神の御子、私たちの主イエス・キリストとの交わりに入れられました。
この御子、主イエス様との交わりこそ、信徒の交わりの源（みなもと）です。私たちは本当に、父、ならびに、御子、イエス様との交わりを、本当の意味で知っているでしょうか。言うまでもなく、この交わりは、表面的な気分によって生まれるものではない。この交わりは、教理を同じくするという理由で生まれたり、また、会議を通して決議された結果、生まれるというものではありません。
この交わりは、いのち、また、霊の交わりです。この交わりのあいだには、少しの暗いところも、影もあってはなりません。父、ならびに、御子、イエス様との交わりには、完全な信頼がなければなりません。父は、御子、主イエス様を心から信頼され、ご自分の計画を全部、教えてくださり、これに委ねられました。
全部のご計画を、少しの不安もなく、委ねることができたのです。反対に、イエス様の父に対する態度も、全く同じものでした。イエス様は、父なる神に、完全により頼み、少しも疑わず、父の御心を行われました。あのように驚くべき深い悩みの中にある時も、十字架に向かって歩まれる時も、少しも疑わず、全き信頼を、父においておられました。
イエス様と父なる神は、お互いに、それほど信頼し合っておられたので、そのあいだにはいつも、絶えざる平安と静けさがあったのです。このお互いの信頼が、交わりです。この父と御子のすばらしい交わりに、人間も加わることができるとは、驚くべきことなのではないでしょうか。主は、何ゆえにか、私たちをも、この交わりに召してくださったことを知ることができるのは、ありがたい。ただひとつ、分かることは、はかり知れない、主のご愛のゆえであるということです。
イエス様はこの交わりに、我々をも招いてくださるために、この世に来てくださいました。イエス様が、この地上におられた時、願っておられたことは、第一に弟子たちが、この交わりに入ることができるようになることでした。私たちは救われるために救われただけではない。このすばらしい交わりにあずかるために救われました。私たちは、良心の咎めが消され、救いの確信を得るために召されただけではなく、この交わりにあずかるために、召されました。
もし人が父、ならびに、御子、イエス様との交わりに入りますと、使徒行伝にある信徒の交わりに入ったことになったわけです。使徒行伝に出てくる信徒たちは、別に、特別な人々ではなかったのです。使徒たちも、同じく特別な人々ではありませんでした。けれども、使徒は、いかに作られたのでしょうか。使徒は、イエス様に選ばれ、とくに召された人々でした。
マルコ
3:13 さて、イエスは山に登り、ご自身のお望みになる者たちを呼び寄せられたので、彼らはみもとに来た。
3:14 そこでイエスは十二弟子を任命された。それは、彼らを身近に置き、また彼らを遣わして福音を宣べさせるためであった。
イエス様は、これを見るとわかりますように、使徒たちは、まず、第一に、ご自分のみもとに置くために召され、その次に、遣わすために召されたことがわかります。イエス様は、ご自分が永遠の昔から持っておられた、父との交わりに、使徒たちも入ることを、心から願われました。
イエス様は、今日も、全く当時と全く同じように、この交わりに私たちがあずかることを、願っています。父、ならびに、御子、イエス様との交わりにあずかることができるとは、何という特権でありましょうか。この交わりをよろこばずして、他のもので満足することがあっては残念です。
私たちは、イエス様に仕えることが、いちばん大切であると考えますけど、主の考えは、もちろん、違います。イエス様にとっては、まず、ご自分との交わりを持つように、我々に求めておられます。イエス様にとっては、まず、ご自分との交わりを持つように、我々に求めておられます。
人々は、熱心な働き人ならば、良い働き人だと思うかもしれないけど、主の考えは、全然、違います。主のために、熱心に奉仕をしますが、主との親しい交わりを持っていない人々が、たくさんいますけど、これは、本当にあわれなことです。私たちは、弟子と同じように、この世と罪から逃れるために選び出されましたが、そればかりではない。父、ならびに、御子、イエス様との交わりにあずかるために召されました。
信徒の交わりは、父、ならびに、御子、主イエス様との交わりであり、これは、いのちと霊の交わりです。イエス様のからだの交わり、すなわち、信徒のあいだの交わりは、霊の交わりですから、そこには、制限がなく、不安がなく、疑いがなく、全き信頼がなければならないはずです。この交わりに、私たちは召されていますけれども、問題は、どうしてこの交わりに、全き信頼に入ることができるかということです。
弟子たちも、最初は、イエス様と親しい交わりを持っていなかったのです。最初はただ、イエス様と関わり合いがあるといった程度でした。イエス様は、弟子たちを召し、彼らは三年のあいだ、イエス様とともに生活しました。この間、イエス様は、ご自分のご目的を弟子たちに明らかにするために、何とかして、弟子たちとの親しい交わりに入ろうとなさいました。イエス様は、彼らを父なる神との交わりに導こうとなさいましたが、彼らは全然、理解できなかったのです。
イエス様は、弟子たちと、少しの疑いもなく、全き信頼をおく交わりに入りたかったのですが、いざイエス様が、深い御心を示そうとなさると、弟子たちは、もちろん、わからなかっただけではなくて、イエス様を誤解してしまったのです。弟子たちは、そればかりでなく、お互いのあいだにも、深い交わりを持っていなかったのです。ただ関わり合いがあるといった程度だけでした。
あいだには、交わりがなかっただけではない。時々、けんかをし、言い争いもしましたし、イエス様は、その仲裁をしなければならないといった有様でした。十二人の弟子は、ユダを除いて、心からイエス様を愛していました。そのために、すべてを捨てて、イエス様に従ったのです。それにもかかわらず、彼らのあいだには、本当の交わりがなかったのです。お互いに妬み、誤解し、争いました。
ヤコブとヨハネは、自分がいちばん偉い、偉くなりたいと思い、他の弟子たちをのけ者にして、二人で相談しました。
マルコ
10:35 さて、ゼベダイのふたりの子、ヤコブとヨハネが、イエスのところに来て言った。「先生。私たちの頼み事をかなえていただきたいと思います。」
10:36 イエスは彼らに言われた。「何をしてほしいのですか。」
10:37 彼らは言った。「あなたの栄光の座で、ひとりを先生の右に、ひとりを左にすわらせてください。」
10:38 しかし、イエスは彼らに言われた。「あなたがたは自分が何を求めているのか、わかっていないのです。あなたがたは、わたしの飲もうとする杯を飲み、わたしの受けようとするバプテスマを受けることができますか。」
10:39 彼らは「できます。」と言った。イエスは言われた。「なるほどあなたがたは、わたしの飲む杯を飲み、わたしの受けるべきバプテスマを受けはします。
10:40 しかし、わたしの右と左にすわることは、わたしが許すことではありません。それに備えられた人々があるのです。」
10:41 十人の者がこのことを聞くと、ヤコブとヨハネのことで腹を立てた。
このように弟子たちのあいだには、本当の交わりが全然、なかったのです。けれども、やがて、五旬節が来た時、弟子たちは、いっぺんに変えられました。全く違う人々になったのです。この時から、彼らは、本当の交わりを持つようになりました。
ペテロが立ち上がった時、皆も、他の十一人も共に立ち上がったと、使徒行伝に書かれています。ペテロが立った時、他の者も一緒に立ったのですけど、これは、前もってそのように相談していたわけではない。自発的に、自然にそうなったのです。十二人の人は、もはや十二人の一人ひとりではなくて、十二人がひとつのからだをなしたのです。
五旬節の日の立役者は、なるほど、ペテロだったのですけど、聖書を見ると、ペテロだけが目立ったわけではなかったことがわかります。人々は皆を見て――ペテロだけを見てではない――皆を見て驚いたと書かれています。五旬節は、教会の――主のからだなる教会の――誕生日です。このまことの教会とは、ひとつの宗教団体でもないしひとつの組織でもありません。この時から、信者はもはや、一人ひとり、バラバラでなく、イエス様を頭とした肢体に綴り合わされたのです。
ペテロと他の人たちは、本当にひとつでした。霊的な交わりを持っていました。使徒たちは、お互いに全く信頼し、そこには、他の人たちと互いにけんかし、お互い恐れるといったことは、見受けられませんでした。全くなかったのです。五旬節の前までは、このような交わりは、天の父なる神とイエス様とのあいだにしかありませんでしたが、この日から、多くの人々も、この交わりに入ることができたのです。
三千人の人々がこの交わりにあずかったと記されています。これらの人々は、使徒の教えを守り、信徒の交わりをなしたと、聖書に書き記されています。彼らは、イエス様のみことばを、自分の生活の基準として受け入れ、自分たちはすでに、信徒の交わりにあずかっているとの自覚を持っていました。この交わりは、外から来るのではなく、内に住んでおられる御霊のゆえに生まれた交わりです。次の箇所を見てもわかります。
エペソ
4:4 からだは一つ、御霊は一つです。あなたがたが召されたとき、召しのもたらした望みが一つであったのと同じです。
4:5 主は一つ、信仰は一つ、バプテスマは一つです。
4:6 すべてのものの上にあり、すべてのものを貫き、すべてのもののうちにおられる、すべてのものの父なる神は一つです。
これは、彼らのひとつになった親しい交わりの源でした。交わりとは、すべてのものを共有するということです。初代教会の兄弟姉妹たちは、そうしていました。使徒行伝を見ると、次のように書かれています。『信者となった者たちはみな――99パーセントではなくてみな――いっしょにいて、いっさいの物を共有にしていた』と報告されています。
【参考】使徒行伝
2:44 信者となった者たちはみないっしょにいて、いっさいの物を共有にしていた。
誰も自分の持ち物を主張する者はなく、日々、心をひとつにしていたと書かれています。彼らは霊において、ひとつであったばかりではなく、考えも、願いも、心もひとつであったのです。これこそ信徒の交わりであり、イエス様のからだとしてあるべき姿です。私たちの一人ひとりも、使徒たちの教えを守り、信徒の交わりをなしたと言える状態になったら、確かにありがたいのではないでしょうか。
信徒たちは、イエス様と共に過ごした三年間この本当の交わりを知らなかったのです。これは、交わりに入る準備の時だったのではないでしょうか。この三年間、実りのない三年間のように見えるでしょう。けれども、この三年の年月のあいだに、彼らの古い性質は、少しずつ取り除かれていったのでした。
もし弟子たちが、イエス様に従わないで、自分の職を持っていたなら、彼らは、信心深い人々として尊敬されながら、生涯を終わったことでしょう。けれども、イエス様と共に歩んでいた。彼らは、自らの姿を教えられ、主のみもとで本質的に造り変えられていきました。主の光に照らされ、彼らの心の暗いところは、だんだん取り扱われ、明るみに出されてきました。彼らの心に隠された思いが表わされてきました。
もちろん、弟子たちは、他の人々より悪い人々ではなかったのですけど、主の光に照らされた時、絶望的な自らの真相を教えられました。イエス様が十字架にお架かりになった時、彼らは全く絶望してしまいました。その時、彼らは、バラバラになって逃げてしまいました。
本当の交わりの秘訣は、秘密そのものは、いったいどこにあるのでしょうか。聖書の答えは、『もし神が光の中におられるように、私たちも光の中を歩んでいるなら、私たちは互いに交わりを保ち、御子イエスの血はすべての罪から私たちをきよめる』とあります。
【参考】第一ヨハネ
1:7 もし神が光の中におられるように、私たちも光の中を歩んでいるなら、私たちは互いに交わりを保ち、御子イエスの血はすべての罪から私たちをきよめます。
けれども、私たちが今、持っている悩みは、光の内に歩むどころか、光の中に立つことすらできないでいるのではないでしょうか。
イエス様の光に照らされますと、我々の生まれながらのものは、徹底的に、ダメであり、役に立たない、汚れたものであることがわかります。もし、イエス様との交わりが正しくなると、お互いの横の交わりも、もちろん、正しくなります。御霊は、我々の上に注がれ、私たちはひとつのからだとなるように、まことのバプテスマを受けました。
信じる者にとって、何回も何回も言いましたように、もっとも大切な箇所のひとつは、ガラテヤ書2書20節ではないでしょうか。
ガラテヤ
2:20 私はキリストとともに十字架につけられました。もはや私が生きているのではなく、キリストが私のうちに生きておられるのです。いま私が、この世に生きているのは、私を愛し私のためにご自身をお捨てになった神の御子を信じる信仰によっているのです。
この事実が土台になって、初めて、まことの交わりが生まれてきます。私たちが、日々、この立場を取り、認め、主の御前にすべてを明け渡す時、御霊は豊かに、我々を満たしてくださり、父、ならびに、御子イエス様との豊かな交わりに与からせてくださいます。
この交わりとはどういうもの？光の交わりであり、いのちの交わりであり、愛の交わりです。もし、この交わりが我々の中に起きると、「主、そこにいます」と呼ばれるほど、主の御栄（みさかえ）を現す我々となることができます。
神の家とは、生ける神の教会のことであって、それは、真理の柱、真理の基礎であるとあります。私たちもこのような教会になりたいものです。私たちを召し、父、ならびに、御子イエス様との交わりに入れてくださった主に、本当に心からなる感謝を捧げたいのではないでしょうか。
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